自然と相沢に目がいってしまう。
ボールが全然彼女のところへ行かなくて、どことなく浮いている。
それがわざとなのか、たまたまなのか。
俺には判断できないけれど。
「……?」
相沢たちの試合終了のホイッスル。整列をして挨拶をしたあと相沢が悲しそうな顔を浮かべて、体育館を出て行ってしまった。
……どこ行ったんだ?
彼女のことが、どうしても気になる。
どうしても、相沢には笑っていて欲しいと思う自分がいる。
出会ったばかりなのに。
そう想うことは、おかしなこと?
「今なら大丈夫か……?」
抜けるなら仁が注目を集めてくれている今がチャンスだ。
よし、行くか。
こそっと体育館を抜け出して相沢の後を追いかけた。



