だけどこうするしか方法はない。



「俺たちで相沢を守ろう」



俺の言葉にふたりが頷いた。


大切な人が死ぬのはイヤなんだ。


人は必ず死ぬ。
だけど、その瞬間を絶望の中で迎えて欲しくはないし
ギリギリまで精一杯生きて欲しいんだ。



「冬樹くん、これを……」



そばで聞いていたおばさんが俺に見覚えのある一冊のノートを差し出した。


これは……


相沢が人と会話する時に使っていたノート。



「冬樹くんに持っていて欲しいの。お願いできるかしら?」


「俺なんかでいいんですか?」


「冬樹くんが、いいの」



真っ直ぐ俺の目を見るおばさんから俺はノートを受け取った。


普通の大学ノート。

パラパラめくると今まで相沢が書いて来た文字たちがそこに。


……相沢が刻んで来た時間。証。



「お願いね」


「……はい」



しっかりと返事をして、ノートを大事にかばんにしまった。