相沢には事実を隠そう。

それが相沢の幸せに繋がるならなんてことない。



「思い出ならまた作ればいいんです」



そうだ。

失くした思い出ならまた作ればいい。


生きているのだから、思い出なんて、いくらでもつくることができる。


そのチャンスをもらえたんだ。


俺への想いが消えてしまったなら、また、恋を最初からやり直せばいい。


……俺は何も諦めたりしない。


確かに相沢の想いは一度、俺のもとへ届いたのだから。


両想いが奇跡というなら、もう一度奇跡をおこしてみせる。



「冬樹くん……ありがとうね……優夜はあなたに出会えて幸せ者ねっ」



相沢のお母さんは嬉しそうに涙ぐんでくれた。


幸せ者なのは俺のほうだ。


今度こそ、もらったものを全て返す。


相沢は俺が守る。


だから、待っててくれないか。



『わたしも、いつか前に進めるかな?声が出るようになる?』


『もちろん。俺がその手伝いをする。全力で。だからこうやって辛いこととか不安とか、全部俺にぶつけて?……受け止めるから』



約束、今度こそ守るよ。

君を全力で支えるから。