……そう思うと、悲しくなった。
「それでね、優夜には事実を隠したままで行こうと思うの」
「……隠すというのは?」
「……うん、優花が自分のせいで自殺したことを思い出すとまた声が出なくなってしまうんじゃないかって。……また、死のうとしちゃうんじゃないかって……っ」
なるほど、そういうことか。
確かにそうだよな。
辛い思い出は忘れたままの方が相沢は幸せだよな。
「だから冬樹くんには悪いんだけど……」
「わかりました」
「え?」
「大丈夫です。相沢と出会ってから半年、俺は相沢からたくさんの思い出をもらいました。相沢がその思い出を持っていなくても俺が持ってます」
相沢は思い出さなくていい。
それでもいい。
変わりに俺が覚えてる。
ひとつも忘れたりしないから。