しばらくして教室に戻ると黒板には大きく「自習」と書かれてあって。
みんなが俺を見ては同情の目線を向けた。
「冬樹くん……っ」
「……冬樹」
優花ちゃんが泣いてる。
仁は辛そうに顔をしかめている。
クラスのみんなも黙りこくって重い空気を作り出していた。
「相沢さん……なんで自殺なんか……」
席に座ると、クラスの女の子がポツリと呟いた。
その言葉に返事をする人は俺を含めて一人としていなかった。
……生きている心地がまったくしない。
感情がすっぽり抜けたような、
心が俺の中から消え失せたような、
そんな感じ。
机にひじをついて手を合わせて額にくっつける。
「冬樹くん、その手……っ」
「……ちょっと殴りすぎたかな」
俺の手を見て、口に手を当てて言葉をなくしたのは俺の最愛の人にそっくりな優花ちゃん。
気が済むまで殴り続けるつもりだったけれど、どんなに殴っても気なんて済まなかった。
皮が剥けて血とアザで見るに耐えない俺の手を、苦しそうな表情で見つめる優花ちゃんにすこしだけ微笑んで見せる。
……俺、ちゃんと笑えてる?



