「待ってっ!行くなっ相沢ッ!!」



必死に地面を踏みしめて、手を伸ばしながら想いの限り叫んだ。


……頼むから……。

行かないでくれ。


本当はその他にも言いたいことは、伝えたいことは、たくさんあったはずなのに出て来た言葉はものすごく単純で。


もう少し気の利いた言葉を言えたら良かったのに。


そのままなにも言えないまま、


相沢はすこしだけ俺に微笑んで、


両手を広げると、
風に身を任せるように………。



ーー… 飛び降りた。



その瞬間まわりがいっきに無音になって、ものすごい重たくて硬い鈍器で殴られたような衝撃が頭に響いた。


ウソだろ?相沢……。


ーードクン、ドクン。


目の前からいなくなった最愛の人。
心臓が動くたびに……痛い。