……だから俺のそばから離れて行かないで。
毎日幸せだと、楽しいと思っていたのは俺の方だよ。
なにも出来なくてゴメン。
辛い想いさせてゴメン。
止まらない涙を走りながら拭った。
それでも歪む視界。
絡まりそうになる足を必死に動かしながら願った。
君が、無事でいることを。
ーーバンッ!!
開けた扉の先に広がるのは青い青い空。
屋上のコンクリートに足を踏み入れると太陽の日差しが容赦なく照りつけた。
相沢が死ぬなら、ここしかないと思った。
上がった息を整える暇もなく、溢れている雫を拭くこともやめて。
ーー彼女を見た。
「……あいざわ……」
サラサラな長い髪の毛が風に揺れる。
フェンスの向こうで後ろで手を重ねて空を見上げているのは……相沢だった。



