大切な人がいる限り、俺は、明日を手放さない。
明日への希望を捨てない。
大切な人を守れるようなそんな人でありたい。
大切な人を、大切にできるような、そんな人。
天国で見てる母さんに胸を張れるように。
それから間もなくして担任が教室に来て、二学期最初のHRが始まった。
「新学期早々ですが、また、転校生が来ました」
担任がいち早く言った言葉にクラスがざわめく。
また、という言葉で俺を見る視線がいくつもあった。
……また転校生?
「入って来ていいわよ〜」
担任のかけ声で教室の扉が開く。
入って来たその人に、一瞬だけ時間が止まったような気がした。
「え……」
思わず口からこぼれる。
びっくりしたのは俺だけじゃなかった。
クラスメイト全員が唖然として面白いぐらいにポカーンとしていた。
目を見開く俺。
心臓が大きく軋んだのがわかる。
うそ……だろ……?
なんで?
「はじめまして。相沢、優花です」
黒板の前で首を傾げてにこやかに挨拶をするのは……。
相沢にそっくりな双子の妹、
……優花ちゃんだった。
ーー運命の歯車が動き出した音が聞こえた気がした。



