叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



相沢の手を引くと強く抱き締めた。
……抱き締めずにはいられなかった。


目の前に相沢がいることに、
相沢が無事だったことに、

嬉しくて、安心して。


脱力感と、高揚と、いろんな感情が溢れ出て来て心が震えた。


よかった。
相沢が無事で。本当に。心のそこから。


涙はくっと堪えた。
男が女の前で泣くなんて情けない。


情けない。



「相沢、俺から離れんな」


『…………』


「離れんな……っ!」



何度迷子になっても君を見つける。

何度生まれ変わっても君を見つける。


でも、それでも。


俺から離れないでくれ。


頼むから。


わかったと言わんばかりに、相沢は俺の背中に手を回した。


腕の中の小さな愛しい存在。
ぜってぇ、守ってやる。


ーーヒューー……ドン!!


俺の心の誓いと同時に大きな音で菊の花びらが夜空に綺麗に舞った。


何度も、何度も、打ち上がっては消えて。


心に響く音はそのままざわめきへと変わって行った。