まいったなぁ……。
巾着を持つ相沢の手が若干震えてる気がする。
いつも使ってるノートは巾着に入らなくて置いてきた。
必死に彼女の口の動きを見る。
『どうして、目、合わせて、くれない』
え?
「それは……っ」
ーー相沢の浴衣姿が可愛すぎて。
そう言おうとして、やめた。
恥ずかしすぎてそんなこと言えるはずなかった。
でも目の前の彼女は涙目で、今にも泣きそうに俺を睨む。
あぁ、うん。
そんな表情も可愛いよ。
可愛いんだよ、相沢、君が。
君が悪いよ。
俺の浮き足を立たせてる。
なにもかも相沢のせいにしたら、相沢はもっと不機嫌になるのだろうか?
「……相沢が可愛すぎて俺の調子が狂ってるだけだよ」
胸の動きが過去最速だと思うぐらい激しく動いてる。
本当は今すぐにでも目をそらしたいんだけど、また彼女が傷ついたら嫌だから。
真っ直ぐ、相沢の大きい瞳を見た。



