心の中が彼女のことでいっぱい。
相沢に対する愛でいっぱい。
満たされてるってわかる。
……なんか俺ばっか幸せで、申し訳ない。
相沢に幸せになって欲しいのに。
俺ばかりが嬉しい。
「行こうか、相沢」
『うん!』
俺はクツを、相沢はゲタをはいて「行って来ます」と外に出た。
叔母さんと夏沙が手を振って見送ってくれた。
相沢がキツくないようにいつもよりゆっくりめに、彼女に合わせるように車道側を歩いた。
ここら辺の歩道は狭いし危ないから。
ーードキドキ。
あー、なんかいつもより緊張する。
なんでだろう?
相沢が浴衣だから?
今日が花火大会だから?
さっきから隣が見れねぇよ……。
ドキドキして、それが全身に緊張感を運んで、甘くくちびるを噛む。
夕暮れの、赤さが、頬に移る。



