「仕方ねぇなぁ……」
『やったね!でさでさ今日の夜、花火大会があるんだけどみんなで行かない?』
花火大会?
「いいなそれ」
花火大会か、すげぇ楽しそう。
小さい頃に夏沙を身籠った母さんと一緒に行ったのが最後かな……。
人がいっぱいいて、煌びやかなお店がたくさんあって、花火が打ち上がった時のあの大きな音にはびっくりしたけどすごくキラキラしていたのを覚えている。
すごく楽しかった記憶。
ふと相沢がいるキッチンの方を見るとお昼ごはんを苦戦しながらも真剣に叔母さんと作っている様子。
……がんばってる。
可愛いな。
なに作ってんだろ?
『冬樹さん聞いてる?』
「……聞いてる。6時に駅な」
『うん。じゃあまた後で』
通話が終わってそのまま台所に向かう。
不器用そうにジャガイモの皮を剥く相沢にちょっと笑ってしまった。