顔が火照るのがわかる。
清純な男子高校生にはちょっと辛い。


我慢だ。我慢。



「こ、ここ、相沢の寝る場所な」



噛んだし。ダサすぎるぞ、俺。



『ありがとう』


「ううん。じゃあおやすみ……っ」



俺の隣に座って笑う相沢から目を思わずそらす。


……ここから早く出て行こう。


いい匂いがする彼女から
いつもより色っぽい彼女から


今すぐに離れなきゃ。


そう思ったのに……。



「相沢?」



相沢がそれを阻止するかのように俺の腕を両手で掴んで来て。
彼女の表情を見ようとしてもうつむいていてよく見えない。


でも次の瞬間、俺の目を真っ直ぐ見ると

『い、か、な、い、で……』

そう、言った。


ーー言ったんだ。


いつもより力強い息づかい。
スースー息が漏れるような発音。
声というにはまだ足りないけれど。


それでも、明らかに進歩してる。