「その本、相沢も好きなんだよ」


「じゃあ声が出ないお姉ちゃんのためになつが読んであげるぅっ!」



無邪気に拙くも一生懸命に物語を読み進めて行く妹を温かな目で見つめる相沢。


……夏沙、お前優しいやつだな。


こうやって相沢がいろんな人から優しさをもらって、心の傷を癒して、心のなかを楽しい思い出だらけにして……。


声を出して笑わずにいられないようにしてあげたい。


そしたらいつか君の声が戻るのだろうか。


正しい方法なんてわからない。

近道も、わからない。


遠回りでもいい、ゆっくり前に進みたい。


……君の声を聴きたいから。



「みんなー!ごはんだよー!」