自転車を公園の隅に停めると相沢のところに向かう。
……好きな女の子が泣いているのに放っておくことなんて、俺の中の選択肢にはなかった。
一瞬味噌を待つ叔母さんの顔が浮かんだけれど……ごめん、叔母さん。
「どうしたんだよ、相沢」
『ふゆき……』
「暗いのに危ないよ」
近くで見ると、やっぱり相沢は泣いてて。
相沢はやっぱり人前では絶対泣かないんだなって思った。
でも一人で泣かせたくない。
俺にも分けて。
相沢の涙の理由。
『ママとケンカした。帰りたくない』
相沢がゴソゴソといつものノートを取り出すと書いた文字。
……ケンカか。



