あいつ、意外に優しいから。
だからきっと優花ちゃんの傷と相沢の声のことでずっとずっと悩んで来たんだと思う。
自分が大好きな優花ちゃんを守れなかったせいで相沢の声が出なくなったという罪悪感と、優花ちゃんを救えなかった無念。
優花ちゃんへの罪悪感と、相沢への罪悪感。
それは似て非なるもの。
反比例した気持ち。
心優しい仁はずっと苦しんで来たんだ。
仁は相沢を責めきれないし、「もういいよ」って「幸せになろう」とも優花ちゃんを思って言えないんだ。
だから俺に相沢と完全に離れろとも言えない。
大切な人を助けられなかった。
自殺は未遂に終わったけれど、優花ちゃんの心の傷を想ってずっと苦しんで来たんじゃないか?
だとすると仁の心は、たぶん中学3年生の冬から動けていないんだ。
俺……。
相沢だけじゃなくて
仁の心も助けてやりてぇ。
お前のことも俺は大切なんだ。
俺も、仁の明るさには助けられたから。