「いいよ。わかった」
優花ちゃんの優しい声。
優しい笑顔。
俺の言葉が止まったのは、彼女が本当に怒った様子ではなかったから。
どうしてそんなに穏やかな顔してんだよ。
本人が怒っていないのに、俺が怒ってしまったら話がややこしくなりそうだから、言おうと思った言葉はグッと飲み込んだ。
あんな風に言われて、普通は怒ってもよさそうなのに。
優花ちゃんは本当に、優しい。
なにも関係ない俺が、悔しくなるぐらい。
そして、名前に負けないような
優しい優しい花のような笑顔の持ち主。
だから、好きになったんだ。
……あの日だってそうだった。
『花壇の水やりだるいから、やっといてくんない?』
忘れ物を取りに教室に行くと、クラスの女子が優花ちゃんに花壇の水やり当番を押し付けてる最中だった。