花に、嵐

ちらり、また朔ちゃんを見上げてみる。

今回のお見合い話があってからずっと考えていたこと。

きっかけがほしいと、常々思っていた。

朔ちゃんには隙というものがなくて、なかなかその懐に入ることを許してもらえないから。

この見合い話を利用しない手はないんじゃないかって。


ただ、それを朔ちゃんが受け入れてくれるとは限らないんだけど。

だって、朔ちゃんだしね。




「──で?お前結局どーすんの?」

旺司郎からの問いかけにハッと現実に引き戻される。

「見合い、したくねーからここに来たんだろ?ああ、もしかして兄貴に止めてほしいのか?」

「え、う、うーん」

曖昧に言葉を濁すと

「なぜ、僕が止める必要が?」

冷たいお言葉が頭上を掠めた。