「神崎さん。おきてー。」 看護師さんの声が聞こえた。 『っんー。』 重い瞼をこじ開けながら 起きた私に看護師さんは、 「血圧と体温計ろうねー。」 と、いつもどおり私に言った。 私も、 『はーい。』 といつもどおり返すと 看護師さんは薄く笑みを浮かべながら私に体温計を渡してきた。 …また、今日が始まる。 ―‥‥《きっと早く治るよ。だから一緒に頑張ろうね。》 そう言われて何年が経とうとしているのか。 もう桜の木にはポツポツと桜が咲き始めている。 …三度目の春が来る。