俺はしばらくそこに立ちすくんだままだった


高瀬の言い分も分かるから。


「蒼依君、帰ろ?」


「悪い。今日は1人で帰るわ」


今は1人になりたかった


俺は久田の言葉なんて聞かずに帰った


やっぱり俺は杏花じゃないとダメなんだ


久田が隣に居ると苛々する。


自分が自分じゃない気がする


それだけ杏花の存在が大きかったっていうことだよな。


杏花に会って謝りたい


“俺には杏花だけだよ”って…


“杏花が好きだよ”って…


言わなきゃいけないことはたくさんあるはず。


でも、それを行動に移せない


どうしようもなくて、授業は受けずただただ歩き回っていた


別に何をするというわけでもない


「蒼依…?」


名前を呼ばれて振り向くと杏花の次に会いたかった人。


その人を見て安心出来た