「この鍵、あたしがもらって良いの?」


杏花は不思議そうだ


「杏花だからもらって欲しい」


「じゃあ、もらうね。渉君には渡さなくて良かったの?」


「アイツも一部屋使えるからやらなくて良い」


「屋上、気持ちいいけど寒いんだよね。」


これは杏花と居たいが為の単なる理由付けかも知れない


それでも杏花と居たかった


「此処までで良いよ」


「気を付けてね?」


ニコッと笑ってくれる


その笑顔に癒やされる


「杏花…怖いかも知れないけどちょっとこうさせて」


誰も居ないところで杏花をギュッと抱きしめた


「怖いか…?」


「怖くないよ。大津君も不安なんだよね?」


杏花には癒やす力がある


多少、震えていたけど初めて話した時よりはマシだ


杏花を抱きしめて落ち着いてから頭を撫でてその場を去った