「じゃあ、杏花、頑張ってこい。」


それだけ告げるとパパは出て行った


「優斗は相変わらずなんだから」


なんて言いながらも嬉しそうにするママ


「ママ、嬉しそうじゃん」


「まぁね。優斗のキスは嫌いじゃないよ」


「惚気ちゃって。…ねぇ、ママ?あたしにも信頼出来る人、見つかるかな?」


あたしは男の子が苦手だ


「きっと杏花にも近いうちに出来るよ」


ママはそれを分かって言ってくれてるんだろうけど…不安だ。


「とりあえず、学校行きなさい。帰ってきたら話し聞いてあげる」


パパは美容師、ママはカウンセラー


家の1階は美容室とカウンセリングルーム


「無理しないことね。」


あたしは生まれつき右手が使えない


ママよりは軽度だけどね


だから“無理しないこと”って言ってくれてる