「麻幌の兄上が紡衣なのか?」
リビングに通された諳がリクエストしたのはロイヤルミルクティーだった。
「そうです…通常なら長子が…と思ってるのでしょう?」
手製のミルクティーを渡しながら紡衣が笑う。
「余り拘る事は無い…」
「残念ながら私には十二支玉が懐かな
くて…玉座を護っています」
自虐の様に笑う。
「玉座あっての玉だからな…一人で護り操るのは大変だ…麻幌は良いなぁ…」
麻幌は…の部分は完全な諳の呟きだったが、二人は聞き逃さなかった。
「麻幌が良いのか?」
諳が手を伸ばそうとした菓子を取り分けながら亥月が笑う。
「うん…。玉座を護ってくれる兄上。人形でも無いのに尽してくれる亥月が居る」
その言葉に二人は顔を見合わせた。
「そっか…そうだよな…お前、一人で頑張って来たんだよな…」
「これからは微力ながら私も居ますよ?」
「…ああ…そうだな…麻幌も五月女も居てくれる」


