春が過ぎ梅雨の時期に差し掛かろうとしている。

今日もまた雨…。私は、梅雨が嫌いだ。

でも、決して雨が嫌いというわけではない。

ただ、梅雨になるとどうしても憂鬱になるのだ。これは、私だけなるというわけではないだろう。

少なくとも世界中には、たくさん私と同じ意見を持つ人がいるだろう。
 
そんな私に一筋の光が見えた。どうやら私は、恋をしたらしい…。

それは、完全な一目惚れだった。あれは、今日みたいに雨の日のこと。

雨が降る中、私は傘を差さずに駅まで走っていた。しかし、雨は勢いを増すばかり。

私は、ついにその足を止めてしまった。

ザーザー降りの雨の中私は立ち止まってしまったのだ。

そこに彼がやってきたのだ。そして、私に傘を差してくれた。

彼は、私に何も言わずにっこりと微笑んだ。私の頬は赤く染まった。

そして、駅まで送ってくれた。無言だった彼が口を開いた。

「では、自分はこれで」

また、にっこりと微笑んだ。

私は、何も言えなかった。恥ずかしかったのだ。

あの時から毎日あの人のことを考えてしまう。

そして、どうしてもあの人に伝えたいことができてしまった。

あの日と同じ時間に私は、彼を待っていた。正直会える気がしない。

しかし、私は、待ち続けた。そして、ついに彼の姿を私の目が捉えた。

彼もこちらに気づいたようだ。こちらに向かってくる。

「やあ、この間の。」

彼は、穏やかな声でそういった。

私は、緊張をほぐそうと一回深呼吸をした。

そして、私は口を開いた。

「あの…少しお話が。」

「では、そこの喫茶店で」

私は、小さくだがコクッと頷いた。

私は、彼に自分の気持ちをぶつけた。初めて会った時にあなたのことを好きになってしまったと。彼は、当然びっくりしていた。

そして、少し考える時間が欲しいと彼はそういった。とりあえず連絡先を交換した。

そして、何日かが経ったある晴れた日、彼から会って結論を言いたいと。

この間のあの喫茶店で待ち合わせをした。

彼は、すでに喫茶店にいた。私が席に着くと彼は結論を告げた。

この時、私の恋は儚く散ったのだった

。結論は、わかっていたはずなのに。私は、とても泣きたくなった。

そこまで彼のことを思っていたということではあるが、諦めるしかないという悔しさが私の胸を締め付ける。

こんな時になぜこんなにも空は青く澄んでいるのだろうか…。

ああ、なんでもいいから雨が降って欲しい。そして、何もかも全てを洗い流して欲しい。

私の恋心、そして涙を…。

私は、梅雨が嫌いだ。でも、雨は嫌いではない。

雨は、嫌なことを全て洗い流してくれる。だから、嫌いではないのだ。

しかし、降って欲しい時に限って降ってくれない。ああ、雨よ降っておくれ。

そして全てを水に流して。