リムジンが止まったのは大きな屋敷の玄関先──

「おかえりなさいませ」

 玄関前で待っていた執事長の佐伯が丁寧に会釈をし、ベリルを一瞥する。

 武家屋敷の門をくぐると、広間に案内された。

 およそ古い屋敷に海外の人間は不釣り合いかと思われるのだが、どうしてだかベリルという人に至っては相応でさえ感じられた。

 広間に踏み入ると、絵理は紳士風の佐伯に向き直る。

「佐伯、皆を集めてくれないか」

「かしこまりました」

「ベリル殿、窮屈とは思うがくつろがれよ」

 正座をしつつ発する。

 それに応えるようにベリルも腰を落とし、膝を曲げる。

 あ、正座出来るんだ。という陣の思考は置いておき、青司の視線は常に鋭くベリルを見つめていた。