日本に到着すると、空はすでに真っ暗だった。
しかし、街灯とビルの明かりはそれを感じさせないほどに明るい。
成田や羽田と違い、街中にある小さな空港だが、大まかな説明でリムジンが迎えに来ていた。
黒い車体は磨き抜かれ、誰を受け入れても恥ずかしくない輝きを放っている。
一同はそれに乗り込んで、絵理の家に向かった。
「お父上は?」
「うむ、私に全て一任されている」
絵理の言葉に、父親の兼定(かねさだ)は駆けつけてこないのだと陣はやや驚いたが、絵理の全てを信頼しているのだと考えれば、それもアリなのかもしれない。
御剣財閥を率いていくのは絵理だ、こんなことで狼狽(うろた)えていては務まらない。
とかなんとか言われるのがオチだろう。