「でも、どうしてそんな話を?」

 疑問に思ってふと、思い出す。

「もしかして、言ってた事に関係してます?」

 厄介な相手が向こう側についたって……。

 ベリルはそれに、携帯端末を操作して画面を示した。

「ミュゼフ・ロフナー。ナイト・ウォーカーだ」

 そこには、40代だと思われるガタイの良い男が映し出されていた。

 栗色の髪とくぼんだ茶色い目には、何か得体の知れない闇が潜んでいるようにも感じられる。

「ナイト・ウォーカー?」

「我々の間では盗賊という意味合いを持つ」

 やや苦い表情を浮かべる、この人が表情を少し崩すほどには厄介だと窺えた。

 しかし、どうしてか彼の物言いには違和感があった。

 この人は「救助」と言った、殺されるのではなく捕まる事が大前提のように……。