「でも、青司が止めると思いますよ」

 ベリルはその言葉に陣を一瞥し、小さく溜息を吐く。

「だろうね。私は彼に嫌われているようだ」

 さして気にも留めていないような口調で、むしろ少しの笑みが口角から見て取れる。

「先入観での判断は危険を伴う」

 だからお前に頼むのだ。

 ベリルは静かに言い放った。

「あの」

「なんだ」

「ベリルさんはアメリカ人ですか?」

「いいや、ヨーロッパ圏だよ」

 随分と広くみつもったな、どこの国の人間かは言いたくないのだろうか。