「本来、雇った者を気に懸ける必要はないのだが、彼女においてそれは通用しないだろう」

「あ!」

 ベリルの言葉で絵理を一瞥する。

 確かに、彼女なら「助けに行く」と言いかねない。

 お嬢様であるにも関わらず、相手を大切にする。

 いや、しすぎる時がある。

 俺たちの性格までこの短時間で見抜いたベリルに、やはり疑問を覚えない。

 傭兵とはこういうものなのだろうかと考えるが、自分は特殊な例だろうとたしなめられた。