飛行機は安定し、一同はベルトを緩めた。

「陣」

「はい」

 前のシートにいるベリルが軽く指で陣を呼ぶ。

 2人がけシートの窓側に移動し、陣は通路側のシートに腰を落とした。

「お前は彼らの中で唯一、柔軟に考えられる人間だ」

 おもむろに発せられた言葉に若干、驚いてベリルを見つめた。

「もし私に何かあったとしても、救助などは考慮してはならない」

「え!?」