青司はそれに鼻を鳴らして呆れた。

 厚い扉が閉じられ、飛行機は徐々に速度を増していく──

 絵理は残念そうに、小さな窓から過ぎていく風景を見つめる。

 それを青司はチラリと一瞥し、「また来ればいいさ」と気遣った。

「うむ、そうだな」

 応えて再び窓に目をやり、浮上感に体は自然とやや強ばる。

 日本に戻っても油断は出来ない事を知る一同は、故郷への安堵感と共に緊張感を漂わせていた。