「従う気はない」

「そうか」

 言ってすぐ、ポケットに忍ばせていたハンドガンをベリルに向けて引鉄(ひきがね)を引いた。

 軽い音と共に胸に当たりベリルが倒れ込む。

「!? マジか!?」

 あれだけ言ってて、いともあっさり──!?

 いや、死んでしまったのはお悔やみするけど。

 陣はこれからの事をどうしようかと思考を必死に巡らせていた。

「引きずり出せ」

 再び顎で部下に指示を出すと、男はハンドガンを手にして車に歩み寄った。

 ピクリとも動かないベリルの横を通り過ぎる。

 次の瞬間──男はガクンと激しい痛みと共につっぷした。