しばらく走らせていると──

「!」

 前を見ていた陣の目に車が数台、横向きに並んでいるのが見えた。

 片側4車線の広い道路を目一杯に通せんぼしている。

「マジか」

 まさか本当に仕掛けてくるとは思わなかった。

 ベリルはシートベルトを緩めてコートを羽織り、ゆっくりと車を止める。

 せき止めている車の周囲にいる影は、どれも一様にお世辞にも行儀良い者たちには見えない。