エメラルド・ナイト~守護者たちの饗宴~

「空港までにいくつか閑散とした場所がある」

 仕掛けてくるならそこだろう……無表情な声色の中にも、どこかしら緊張感を漂わせている。

「何かあっても車からは出るな」

 そう言われても、と陣は窓から車を見やる。

 あまり頑丈には見えない車から「絶対に出るな」という指示を受けても、それにはいささか従う気にはなれない。

「指示には従え」

 考えを読まれたのか、淡々とした言葉が返ってくる。

「私に守らせたければそうする事だ」

 おかしな物言いだが、もっともな言い分に無言で頷いた。