エメラルド・ナイト~守護者たちの饗宴~

 しかし、ふと思えば彼は電話のあとに行動しなかっただろうか──?

「あの」

「なんだ」

 険のない物言いで陣に聞き返す。

「誰からの電話だったんです?」

 ベリルは「よくも思い出した」というように口角をやや吊り上げ、肩をすくめた。

「情報を提供してくれる組織からね」

 俗称で「情報屋」と呼ばれているらしいが、そこから気にかかる情報を得たらしい。

「少々、厄介な相手が向こう側についた」

 それだけしか説明してくれなかったが、その相手がいつどこに現れるかは不明とのことだ。