部屋にいい匂いが立ちこめて、3人はダイニングテーブルの席に着く。

「食べていてくれ」

 そう発したベリルは、リビングに向かった。

 ソファに腰掛け、モバイルパソコンをいじっているようだ。

「また、食べない……」

 陣はぼそりと口の中でつぶやいた。

 オレたちのいない所で食べているのかな?

 目の前のハムエッグにフォークを立て、ベリルの背中を見やった。

「うむ、あっさりとした中に塩とコショウが上手い具合に利いておる。サラダのドレッシングも手作りか? 酸味がなかなか良いな」

 朝食でここまで頷ける人間も少ない気がするけど、確かに美味いと思う。

 向かいの絵理に呆れつつ、陣は納得しながら朝食を口に運んだ。