手際よく調理していたベリルの手がふいに止まり、バックポケットから携帯端末を取り出した。

「ベリルだ──そうか、すまんが頼む」

 通話を切って思案するように宙を見つめる。

 しばらく思案して、手にしていた端末からどこかにかけ始めた。

「うむ、明日は雨だが傘は必要ない。代わりに握手を──ハイアットペントハウス」

 何かの暗号だろうか、よく解らない言葉を並べて通話を切った。

「明日って晴れだよな」

 陣は、解る部分の英語だけをようやく理解して小首をかしげる。

「ばーか」

 青司は呆れて目を据わらせた。