「絵理」

「青司か、どうした」

 あてがわれているベッドルームに戻ると丁度、青司が尋ねてきた。

 少年は、無言で見上げる少女をじっと見つめる。

 その瞳は、言い出す言葉を選んでいるようにも思えた。

「絵理はどう思う」

「ベリル殿の事か」

 無言で頷かれ、絵理は視線を泳がせて思案した。

 青司はこの国の事をある程度、知っている。

 危険な部分を考えるとき、

「自分が守らなければならない」という、気負いにも似た感情があるのだろう。