陣たちと別れた絵理は、ベリルのいるベッドルームに向かった。
ルームとはいっても、そこにドアは無く、入り組むように配置されて通常は見えないようになっている。
「たのもう」
古めかしく口を開き、遠慮無く足を踏み入れた。
「なんだ」
突然の訪問に驚きつつ応える。
着替えの最中らしく、上半身は裸だった。
「どうした」
ぴたりと動きを止めた絵理に眉をひそめる。
「ぬ、すまぬ。ローマ彫刻のような美しさに見とれてしまった」
洗練されて引き締まった筋肉は程よく盛り上がり、無駄がまるでない。
人の体とは、これほどまでに美しいラインを描けるものなのかと感嘆する。
美術館に置いていても、違和感なく眺められそうだ。