「そんなに警戒する相手か?」

 陣がいぶかしげに発すると、鋭く切り返す。

「あいつの服装をちゃんと見て無かったのか。とんでもなく武装してたんだぞ」

「そうなの?」

 小首をかしげる陣に苦い表情を浮かべた。

「左脇が若干、浮いてるのはともかくとして、腰の後ろにも何か隠してるし、もしかしたら足首にも何か装着してるっぽい」

 最低でも、拳銃は2丁以上を所持してると思う。

 なんだかんだで見ている青司の言葉に唖然とした。

「とにかく明日、空港まで送ってもらうまで油断しないようにしよう」

 はなから信じようとしない青司に、何を言っても無駄だろう。

 ベリルという人物も、それについては気にしている風ではなかった。

 寛容な相手に感謝しつつ、あてがわれたベッドルームに戻る絵理の背中を陣は見送った。