「狙われたのは、やっぱり絵理?」

 陣の質問にベリルは頷く。

「身代金目的である事は間違いないが、よしんば関係をつなぎ組織を強固なものにしようと考えているのだろう」

 それに軽く舌打ちした青司を一瞥し、話を続ける。

「そのため、あまり組織化されていない」

「でも、どうしてマフィアが絵理を狙うんです?」

 いくら絵理の親が財閥とはいえ、アメリカのマフィアが狙いを定めるなんて、どこか変だ。

 当然の疑問にベリルは小さく笑みを浮かべた。

「彼らも形振(なりふ)り構っていられないようでね。大金が動くとなれば、依頼内容はあまり選ばない」

「まさか、絵理を知っている人間が?」

 青司の表情が険しくなる。