ルームサービスが届き、豪勢な料理がダイニングテーブルに並べられる。
シーザーサラダに鯛のカルパッチョ、ヒラメのムニエルとメインは子牛のソテーだ。皿はどれも3人分しかないが、彼は食べないのだろうか?
「食べながら聞いてもらいたい」
キッチンカウンターの角に片肘を突き、その手には琥珀色の液体の入ったグラスが持たれていた。
「そちらはお酒を飲みながらですか」
「気にするな」
青司のトゲにしれっと発し、軽く氷を鳴らした。
「まずお前たちを攻撃したのはアメリカマフィアだ」
「イタリア系ですか? メキシコ系?」
「昨今では消滅する組織も少なくはない。寄り集まりといった処だろう」
青司の質問に淡々と答える。
マフィア同士は仲が悪いものだが、生存を懸けたものならば、新たな組織が作られるまでの仮組織だと推測するに至る。