「もう1ついいですか」

「なんだ」

 険のない物言いで聞き返される。

「体格的に不利とか、ありました?」

 鍛えているとはいえ、体格差だけはどうしようもない。

「それを補うためにも武器がある」

「あ、そか」

「打撃において小柄であることは不利だ。ならばそれを補う技を身につければ良い」

 ソフトデニムのジーンズに厚手の白い前開きのシャツは、質素ながらもベリルの品の良さを充分に引き立たせていた。

「日本の武術は役に立つ」

「!」

 自分に妥協を許さない人でもあるんだな。