「大事ないようだな」

 小さく笑んで優雅に足を組み左肘をつく。

 そんな、ささいな動作にも見惚れてしまいそうだが、きっと免疫がまだついてないせいだと陣は気を引き締めた。

 神秘性までをも兼ね備えた容姿に惑わされがちだが着やせするタイプなのか、よく見ると鍛え上げられた体型をしている。

 想像しているよりも危険な人物かもしれない。

「して、そなたは何者だ」

 カップを傾けている青年に問いかける。

「あ、その前に。助けてくれてありがとうございます」

 陣は、とりあえず初対面相手の物言いで礼を述べた。