「ペントハウス……」

 陣は口の中でつぶやいた。

 最上階といえば宿泊費は相当なものだ。

 このホテルには、最上階に部屋が3室ある。

 他の階では10室ほどというのに、それだけで1室の広さが想像出来るというものだ。

 エレベータを降りて、上質の絨毯や壁の絵画に目を奪われながら青年のあとに続く。

 立ち止まったドアの前に立ち、白い機械にカードキーを滑らせた。

 黒に金箔でツタの模様が描かれたドアの鍵が、軽い音を鳴らして解錠される。

 高級感を漂わせる材質を眺めながらリビングに案内されると、その広さに目眩がしそうだった。