車は速度を緩めてロータリーに滑り込み、ホテルの玄関前で止まる。

「おかえりなさいませ、ベリル様」

 キーを受け取り丁寧に会釈したドアマンに軽く手を揚げて応え、エントランスに足を進めた。

 名前だけは知る事が出来た3人だが、どうして同じホテルに泊まっていたのかが新たな謎となった。

「おかえりなさいませ」

 カウンターで自分たちのカードキーを受け取りつつ、助けてくれた青年に注意を向ける。

「ベリル・レジデント様ですね」

 キーを受け取ると、その青年は目でついてこいと示しエレベータに乗った。

 上昇するエレベータは止まることなく最上階へ──