「追っ手が近づいている」

 そう言って車に促す。

「あんたが味方だという確証も無い」

 青司は半ば睨み付けるように発し、陣はそれに冷や冷やした。

 彼の容姿も女性と間違われるほどだが、どうしてだか喧嘩腰の口調なのだ。

「私の仕事を増やしたいならそれでも構わんが」

 相手も負けてない、というか無表情で返している。

「何をしておる。そなたらも早く乗れ」

 口を開きかけた青司だったが、すでに乗り込んでいる絵理を見て唖然とした。