背後からでも解る上品な物腰に、どんな人物なのだろうと期待が膨らむ。

 振り返り、見下ろす顔立ちに絵理は目が離せないでいた。

 それは、息を呑むほど整った容姿に見事とも言える印象的なエメラルド色の瞳をした青年──

 思わず見とれてしまったが、壮麗さの中にある鋭さに青司と陣は我に返った。

「何か気になるか」

 未だ見つめ続ける少女に、青年は眉をひそめる。

「ぬ、すまぬ。そなたがあまりに美しい故、つい見とれてしまった」

 よく通る声は日本語で発し、絵理もそれに応える。

 大抵は絵理の言葉遣いにまず何かしらの反応があってもいいはずなのに、その青年はさしたる関心を示さず陣たちを一瞥した。