「待たれよ」

 絵理の声に立ち止まる。

 陣はそこでようやく気がついた。

 絵理は英語で呼び止めたが、この人物はそれまで日本語で話していた事に──

「助けてくれたのだな、かたじけない」

 未だ振り向かない人物に歩み寄る。

 陣も青司もそれに戸惑ったが、相手も警戒されている事に気がついているのだろうか、動きが緩慢だ。

 先ほどの機敏な動きとのギャップでおかしな感覚を覚える。

 絵理との身長差から、相手は174㎝くらいだと窺えた。