「それでも立ち向かえる強い意志を持っているのだ」

「……」

 青司は自分の左肩に手を置き、ベリルをじっと見やった。

 いつもふざけてはいても、その眼差しは常に絵理を守るように動いていた。

 己の痛みにすらも構わないと──

「どうして、そこまで」

 いくら雇われたとはいえ、そこまでして見ず知らずの日本人を守ろうとするなんてどうかしている。

「思うんだけど」

 陣がぼそりと口を開く。

「あの人にとっては誰でも大切な存在なのかも」

「そんな馬鹿な」

 青司は鼻で笑ったが、その目は笑っていなかった。